# 聖火を受け取った市長は、それが偽物だと気付かずに演説を始めた

配信日: 2026-09-07(夕18:00配信) / 通巻 第133号 / カテゴリ: 歴史

オリンピックの聖火リレーと聞いて、どのようなものを思い浮かべるだろうか。ギリシャで採火された炎が、何千人もの走者の手を渡って開催地まで運ばれる。沿道には歓声、カメラのフラッシュ、そして警官隊の護衛。そんなところではないだろうか。

1956年11月18日、メルボルン五輪を控えたシドニーもまさにその通りだった。3万人が沿道を埋め、市庁舎の階段の上ではシドニー市長パット・ヒルズが到着を待っていた。午前9時半、燃えるトーチを掲げた若者が群衆をかき分けて現れる。警官隊に守られ、歓声に包まれて階段を駆け上がった彼は、市長の手にトーチを押しつけた。

予定より早い到着に面食らいながらも、ヒルズはそれを受け取り、そのまま演壇へ進んで用意していた歓迎スピーチを読み始めた。手にしたものを、一度も見ないまま。

しかし、その手の中にあったのはトーチではなく、偽物だった。銀色に塗った脚の先にプディングの空き缶を釘で打ちつけ、中で灯油に浸した下着を燃やしただけの代物である。銀ペンキはまだ乾いておらず、市長の手のひらはべっとりと銀色に汚れていた。それにも気づかず、周囲の人物に指摘されるまで、彼は演説を続けた。

このイタズラを仕掛けたのはシドニー大学の学生グループだった。聖火リレーの起源は、1936年のベルリン五輪のためにナチス・ドイツが考案した演出である。それがあまりにも神聖なものとして扱われていることに、彼らは抗議したかったのだという。

もっとも、計画は初期段階から崩れていた。走者役は白いショートパンツとシャツで走者らしく仕立てた別の人物のはずだったが、その男は走りながら腕を振りすぎ、燃える下着を缶から放り出してしまう。パニックになった彼はトーチを落として逃げた。落ちたトーチを拾い上げたのがバリー・ラーキン——ネクタイにグレーのスラックスという、走る気などまるでなかった別の学生である。仲間に尻を蹴り出され、彼は走った。

しかし、ネクタイをなびかせて走るその男を、民衆は誰も疑わなかった。本物の走者ハリー・ディロンの顔を知る者がほとんどいなかったうえ、当のディロンは10分ほど後ろにいたからだ。それどころか警官隊のほうが彼を本物と信じ、市庁舎まで丁重に護衛してくれた。

偽の聖火を、全力で守り抜く警官隊。文字面だけでも、なかなか珍妙な光景ではないだろうか。ラーキンはトーチを市長に渡すと、静かに階段を下り、群衆をすり抜けて市電に乗り、大学へ帰っていった。市長が手のひらの銀ペンキの意味に気づいた頃には、彼はもう市電へ向かう道の上だった。

ちなみに、翌日ラーキンが試験会場に現れると、同級生たちは総立ちの拍手で彼を迎えたという。そして彼は、その後の試験に落ちた。イタズラは成功したものの、試験は失敗したようだ。

## 出典

- [The 1956 Olympic Flame Hoax | Amusing Planet](https://www.amusingplanet.com/2023/03/the-1956-olympic-flame-hoax.html) — "The stalk was a chair leg painted silver. On the top was a plum pudding can, inside of which a pair of kerosene-soaked underwear was burning with a sooty flame."
- [Flaming underwear, a chair leg and a plum pudding can: the great Olympic torch hoax – The Irish Times](https://www.irishtimes.com/opinion/an-irish-diary/2026/07/11/flaming-underwear-a-chair-leg-and-a-plum-pudding-can-the-great-olympic-torch-hoax/) — "By the time the lord mayor noticed the silver paint on his hands and realised the torch was phoney, Larkin was on his way to the tram."
- [1956 Olympic flame hoax - Wikipedia](https://en.wikipedia.org/wiki/1956_Olympic_flame_hoax) — "Barry Larkin, wearing a tie and gray slacks because he did not expect to run, began to run. The crowd closed around him until police, who believed he was the official torchbearer, escorted him all the way to City Hall."
- [The Olympic Underwear Relay (1956) - The Museum of Hoaxes](https://hoaxes.org/archive/permalink/the_olympic_underwear_relay) — "The handle of the torch was sticky because the silver paint on it hadn't dried. Then someone whispered in the mayor's ear, 'That's not the torch.'"(web)
- [Flame prank – The Irish Times](https://www.irishtimes.com/sport/flame-prank-1.280789) — "The torch, a burning plum pudding tin nailed to a chair leg, was a fake. The real one was still 10 minutes away."(major)

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