# 腐ったリンゴで腹を壊し、レース中に昼寝するも、五輪マラソンで4位になった男がいる

配信日: 2026-09-10(夕18:00配信) / 通巻 第139号 / カテゴリ: 歴史

五輪のマラソンで入賞する選手と聞いて、どのような姿を思い浮かべるだろうか。鍛え抜かれた体、綿密に組まれた調整、給水のタイミングまで計算し尽くした走り——おおむね、そんな洗練されたアスリート像ではないだろうか。

ところが、そのイメージを根こそぎ覆す入賞者が、1904年のセントルイス五輪に存在した。キューバの郵便配達員、フェリックス・カルバハルである。島を端から端まで走破するなどの興行を続け、「アンダリン(歩く人)」と呼ばれたこの男は、なんと、レースの途中で腐ったリンゴを食べて腹を下し、そのまま昼寝をしてから4位でゴールしたと伝えられている。

出発点からしてすでにおかしい。渡航費は自力でかき集めたものの、途中のニューオーリンズでサイコロ賭博に手を出して全財産を失い、残りの道のりはヒッチハイクと徒歩。会場に着いたのはスタート直前で、服装は長袖シャツに長ズボン、足元は街歩き用の靴だった。見かねた出場者の一人がハサミを持ってきて、ズボンの脚を切り落とす。これが彼のユニフォームになったのだ。

もっとも、この日は「まともな選手」のほうが次々に壊れていく大会だった。真夏の午後3時スタートで気温は摂氏30度超、砂埃の舞う未舗装路に7つの丘、公式の給水地点はコース上にたった一か所。走者は路面電車や配達馬車、犬の散歩客まで避けながら進み、脱落者が続出した。

その中をカルバハルは、沿道に人だかりを見つけるたびに立ち止まり、つたない英語で世間話に興じた。車の中で桃を食べている一行にねだり、断られると2個ひょいと持ち去って、かじりながら走り去ったという記録も残っている。大会の公式報告は、雑談だけで彼が1時間近くを失ったと書いた。そのうえで、「もし誰か付き添いがいれば、彼は優勝しただけでなく五輪記録も破っていただろう。」と結んでいる。リンゴと昼寝以外にも、話題に事欠かない男である。

なお、リンゴと昼寝の逸話には諸説ある。当時の資料には見当たらず、1948年の五輪史の本が初出だという指摘もあるためだ。ただ、丸二日近く何も食べずに走り出した彼が果樹園のリンゴで腹を下して横になったという話は世界陸連も紹介しているうえに、無名の郵便配達員が4位に入ったという結果自体は紛れもない事実だ。

ちなみに、彼は二年後の1906年アテネ大会でも、おかしなエピソードを残している。今度はキューバ政府が費用を負担して送り出したにもかかわらず、イタリアに上陸したところで消息を絶ったのである。死亡説が流れ、キューバの新聞には訃報まで掲載された。しかし、死んだとされたその男は、その翌年スペインの汽船に乗って、何事もなくハバナへ帰ってきた。失踪の理由は、「途中で旅費を使い果たしてしまったため」。彼はアテネに行くこともできず、スペインの蒸気船で一般労働者として働きながら、なんとか自力でキューバまで帰ってきたのだ。

## 出典

- [Andarín Carvajal](https://en.wikipedia.org/wiki/Andar%C3%ADn_Carvajal) — "Félix de la Caridad Carvajal y Soto, known as Andarín Carvajal was a Cuban mailman and long-distance runner who competed in the 1904 Summer Olympics."
- [How the 1904 Marathon Became One of the Weirdest Olympic Events of All Time](https://www.smithsonianmag.com/history/how-the-1904-marathon-became-one-of-the-weirdest-olympic-events-of-all-time-14910747/) — "A bit further along the course, he stopped at an orchard and snacked on some apples, which turned out to be rotten. Suffering from stomach cramps, he laid down and took a nap."(major)
- [Inspired by Carvajal, Cuba's federation celebrates its centenary](https://worldathletics.org/heritage/news/cuba-federation-celebrates-centenary) — "Once the gun went, he was up with the leaders in the early stages of the 40km race but not having eaten in almost two days, Carvajal stopped and ate some apples which he found in an orchard, but which turned out to be rotten and caused him to have stomach cramps and forced him to lie down... Carvajal still managed to finish fourth although his finishing time and how far behind the third-placed Arthur Newton, from the USA, remain unknown."(primary)
- [The Trials and Tribulations of 1904 Olympic Marathon Runners](https://www.todayifoundout.com/index.php/2016/05/felix-carvajal-mailman-stopped-talk-crowd-stole-peach-took-nap-still-somehow-managed-come-fourth-1904-olympic-marathon/) — "Felix Carvajal crossed the line in fourth place, though what his time was is unknown today... it should be noted that there is no contemporary evidence that the apple/nap part of this story ever took place, with the first account of it popping up in William Henry's 1948, An Approved History of the Olympics."(web)

## こちらもちなみに

- [聖火を受け取った市長は、それが偽物だと気付かずに演説を始めた](https://chinamini.app/a/2026-09-07/evening.md)
- [世界の主要な人工甘味料は、「うっかり舐めちゃった」ことで見つかった](https://chinamini.app/a/2026-09-06/evening.md)
- [知らないうちにエントリーされていた彫刻のオリンピックで、いきなり金メダルを取った男](https://chinamini.app/a/2026-08-11/morning.md)

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