# しゃっくりが68年止まらなかった男

配信日: 2026-10-25(朝7:00配信) / 通巻 第223号 / カテゴリ: 科学

しゃっくりは、横隔膜が勝手に収縮して起こる。水を飲む、息を止める、誰かに驚かせてもらう——やり方は人それぞれだが、たいていは数分で収まり、長引いても丸一日もすれば忘れている程度のものだ。

ところが、アメリカの農夫チャールズ・オズボーンのしゃっくりは、68年間止まらなかった。

1922年、ネブラスカの農場。彼は食肉用に350ポンド(約160キロ)の豚を吊り上げようとして、そのまま転倒した。本人は痛みも違和感もなかったという。しかしその瞬間からしゃっくりが始まり、以後ほとんど途切れることなく続いた。後に医師が示した見立てはこうだ。脳の中でピンの先ほどの細い血管が破れ、しゃっくりを抑える働きをする脳幹のごく小さな部分が壊れた。つまり、しゃっくりを止めるブレーキそのものが失われてしまったのだ。ただし原因は今も確定していない。転倒で横隔膜を傷めたのではないか、脳卒中だったのではないか、という別の見方もある。

ペースは1分あたり20〜40回。昼も夜も関係なく続いたので、眠りも、固形物をゆっくり味わって食べる楽しみも奪われた。生涯の回数は推定4億回超。しゃっくりから解放された最長の記録は、たったの50時間だったという。

もちろん彼は治そうとした。責任を感じたらしい雇い主が、オマハでの特別な治療に彼を送り出してもいる。通ったのは4回。最初は効いたように見えたが、家に帰るたびにしゃっくりは再開した。ある医師は、一酸化炭素と酸素を吸わせて、彼のしゃっくりを本当に止めてみせた。ただし一酸化炭素は毒ガスである。吸い続ければ死ぬので、治療としては成立しない。

そこで彼が身につけたのは、治すことではなく音を消すことだった。しゃっくりの「ヒック」という音が出るのは、横隔膜ではない。声帯が急に閉じて鳴る音だ。彼はしゃっくりの合間に息を吸うコツを自力で覚え、音だけを消してしまった。晩年の知人によれば、1分に3〜4回、胸がヒクッと動くのが見えるだけで、声は一切しなかったという。彼は生活のほうも普通に送り切った。2度結婚し、8人の子をもうけ、農業を引退するまで働いている。そして1990年のある日、しゃっくりは始まったときと同じく突然止まった。96歳、亡くなる前年のことだった。

ちなみに、彼の友人の一人は、しゃっくりを驚かせて止めようと、彼の背後でショットガンを二連発ぶっ放したことがある。本人の感想はこうだ。「驚きはしたが、しゃっくりが驚いて出ていくことはなかった。」

## 出典

- [しゃっくりが68年止まらなかった男、その間に結婚2回・子供8人](https://www.guinnessworldrecords.com/news/2023/7/extreme-measures-person-with-68-year-attack-of-hiccups-took-to-try-and-stop-them-754877) — "I was hanging a 350-pound hog for butchering. I picked it up and then I fell down."
- [Charles Osborne (hiccups) - Wikipedia](https://en.wikipedia.org/wiki/Charles_Osborne_(hiccups)) — "It was speculated that either an abdomen muscle was pulled or a blood vessel in the brain burst and destroyed the part of the brainstem that inhibited the hiccups."(major)
- [Meet Charles Osborne, The Man Who Had The Hiccups For 68 Years Straight](https://allthatsinteresting.com/charles-osborne) — ""He'd flex his chest three or four times every minute," Koskovich said. "You could tell he was hiccupping, but he wouldn't make any noise." ... And then, in June 1990, the hiccups suddenly stopped. Around a year later, Osborne died."(web)

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