聖火を受け取った市長は、それが偽物だと気付かずに演説を始めた
オリンピックの聖火リレーと聞いて、どのようなものを思い浮かべるだろうか。ギリシャで採火された炎が、何千人もの走者の手を渡って開催地まで運ばれる。沿道には歓声、カメラのフラッシュ、そして警官隊の護衛。そんなところではないだろうか。
1956年11月18日、メルボルン五輪を控えたシドニーもまさにその通りだった。3万人が沿道を埋め、市庁舎の階段の上ではシドニー市長パット・ヒルズが到着を待っていた。午前9時半、燃えるトーチを掲げた若者が群衆をかき分けて現れる。警官隊に守られ、歓声に包まれて階段を駆け上がった彼は、市長の手にトーチを押しつけた。
予定より早い到着に面食らいながらも、ヒルズはそれを受け取り、そのまま演壇へ進んで用意していた歓迎スピーチを読み始めた。手にしたものを、一度も見ないまま。
しかし、その手の中にあったのはトーチではなく、偽物だった。銀色に塗った脚の先にプディングの空き缶を釘で打ちつけ、中で灯油に浸した下着を燃やしただけの代物である。銀ペンキはまだ乾いておらず、市長の手のひらはべっとりと銀色に汚れていた。それにも気づかず、周囲の人物に指摘されるまで、彼は演説を続けた。
このイタズラを仕掛けたのはシドニー大学の学生グループだった。聖火リレーの起源は、1936年のベルリン五輪のためにナチス・ドイツが考案した演出である。それがあまりにも神聖なものとして扱われていることに、彼らは抗議したかったのだという。
もっとも、計画は初期段階から崩れていた。走者役は白いショートパンツとシャツで走者らしく仕立てた別の人物のはずだったが、その男は走りながら腕を振りすぎ、燃える下着を缶から放り出してしまう。パニックになった彼はトーチを落として逃げた。落ちたトーチを拾い上げたのがバリー・ラーキン——ネクタイにグレーのスラックスという、走る気などまるでなかった別の学生である。仲間に尻を蹴り出され、彼は走った。
しかし、ネクタイをなびかせて走るその男を、民衆は誰も疑わなかった。本物の走者ハリー・ディロンの顔を知る者がほとんどいなかったうえ、当のディロンは10分ほど後ろにいたからだ。それどころか警官隊のほうが彼を本物と信じ、市庁舎まで丁重に護衛してくれた。
偽の聖火を、全力で守り抜く警官隊。文字面だけでも、なかなか珍妙な光景ではないだろうか。ラーキンはトーチを市長に渡すと、静かに階段を下り、群衆をすり抜けて市電に乗り、大学へ帰っていった。市長が手のひらの銀ペンキの意味に気づいた頃には、彼はもう市電へ向かう道の上だった。
翌日ラーキンが試験会場に現れると、同級生たちは総立ちの拍手で彼を迎えたという。そして彼は、その後の試験に落ちた。イタズラは成功したものの、試験は失敗したようだ。
出典
独立した出典 5件- The 1956 Olympic Flame Hoax | Amusing Planetamusingplanet.com
- Flaming underwear, a chair leg and a plum pudding can: the great Olympic torch hoax – The Irish Timesirishtimes.com
- 大手1956 Olympic flame hoax - Wikipediaen.wikipedia.org
- 一般The Olympic Underwear Relay (1956) - The Museum of Hoaxeshoaxes.org
- 大手Flame prank – The Irish Timesirishtimes.com