パンダの赤ちゃんが生まれると、動物園は中国に60万ドル払う
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動物園の看板動物といえば、まず名前が挙がるのがジャイアントパンダである。笹をかじる白黒の丸い体は、中国から友好の証として世界に贈られてきた——そんなイメージを持っている人は多いのではないだろうか。
ところが、パンダは贈られていない。中国はパンダの所有権を持ち続けたまま、「貸与」という形で各国に送り出す。受け入れ側の動物園は、レンタル料を払い続ける借り手でしかない。2006年時点でパンダを飼育していたアメリカの4つの動物園は、それぞれ年に100万ドルを中国政府に納めていた。
さらに、この貸与契約には変わった条項がある。借りているパンダに赤ちゃんが生まれると、動物園は一時金として60万ドルを中国政府に追加で支払わなければならない。呼び名は「赤ちゃん税」。繁殖に成功した動物園に届くのは表彰状ではなく、請求書なのだ。
しかも、妊娠が成立したケースの半分近くは双子になる。請求は生まれた赤ちゃん一頭ごとに発生するため、喜びが二倍になった日は支払いも二倍になってしまう。加えて、パンダ自体の飼育費が年間およそ50万ドルかかる。二番目に金のかかるゾウの5倍である。
それでも各園が繁殖に挑み続けるのは、赤ちゃんの集客力が桁違いだからだ。メスが発情期を迎えるのは年に一度ほどしかなく、飼育下での繁殖はきわめて難しいのだが、2005年にワシントンの国立動物園で生まれたタイシャンが公開されると、入園者数は前年までより最大5割増えた。無料で配られた13,000枚の時間指定チケットは2時間で消え、ネット上では1枚500ドルの値が付いた。もともと入園無料の動物園のチケットが、である。
それでもアトランタとサンディエゴのパンダ展示は赤字だった。2006年、4つの動物園は契約更新に向けて料金引き下げの交渉に入り、条件がまとまらなければパンダを中国へ返す可能性があったという。
このレンタル料は世界一律ではない。中国は借り手の国の経済状況も踏まえて価格を決めており、アメリカ以外の国はつがい一組あたり年25万〜50万ドルほどで借りているという。国によって数倍も値段が変わるのだ。