リサイクル大国スウェーデン、ゴミが足りずによその国から輸入している
音声を読み込めませんでした。少し待ってからもう一度どうぞ
ゴミというのは、どこの国でも「どう捨てるか」が悩みの種である。埋め立て地は膨れ上がり、置き場所は足りなくなる。世界の廃棄物の4割は管理もされていない野積みの処分場に行き着くというのだから、ゴミとは基本的に「余っていて困るもの」だ。当たり前の話である。
ところが、スウェーデンではその常識がまるごとひっくり返っている。この国が埋め立てに回すゴミは、なんと全体の1%にも満たない。残りはリサイクルされるか、燃やして電気と熱に変えられる。そんな優れたゴミ処理能力を持つスウェーデンだが、あまりにゴミ処理が上手くいきすぎた結果、この国はある珍妙な問題に突き当たった。燃やすゴミが、足りないのだ。
スウェーデンにはゴミを燃料にする発電所が34か所あり、144万世帯分の暖房と78万世帯分の電気をまかなっている。人口1000万人の国としては、かなりの規模である。一方で国民は環境意識が高く、リサイクルに回す分を差し引くと、焼却炉を動かし続けるだけの「燃やせるゴミ」が国内から出てこない。設備の能力のほうが、国民の出すゴミの量を上回ってしまったのだ。
そこで取られた解決策が、ゴミの輸入である。スウェーデンは近隣国から年間何十万トンという単位でゴミを買い付けている——いや、正確には「買って」すらいない。ここがこの話の妙味だ。最大の取引相手はノルウェーで、あちらは自国で燃やすほうが高くつくため、スウェーデンに送ったほうが安上がりになる。つまりノルウェーが処分料を払い、スウェーデンはその金を受け取ったうえで、送られてきたゴミから電気と熱まで手に入れる。ゴミが資源どころか、収入源になっているのだ。
もっとも、これを手放しの成功と呼べるかは微妙なところだ。焼却後に残る灰にはダイオキシンや重金属が含まれ、こちらは埋め立てるしかない。その灰は、ゴミの送り主であるノルウェーへ送り返される。スウェーデン環境保護庁の担当者自身も、この仕組みは短期的には良い解決だが長期的な答えではなく、本来はもっと再利用と再資源化を進めるべきだと語っている。将来、資源不足でゴミを再利用することの価値が上がり、「ゴミが売れる」時代が来るかもしれない、とも。
この「ゴミ発電所」というジャンルではスウェーデンの他に、国境のすぐ向こうにあるデンマークも世界的に有名だ。コペンハーゲン郊外の施設は、屋根に人工芝のスキー場まで備えている。ゴミを燃やす煙突の脇を、人が滑り降りていく——想像すると少しおかしな光景だ。