7年止まっていた国のダム計画、ビーバー8頭が先に完成させた
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ダムを造る計画とは、緻密な設計図と莫大な予算、分厚い許認可の束などが必要になる一大事業だ。チェコ中部のブルディ保護区で立てられた計画も、はじまりはまさにそれだった。
かつてこの一帯は軍の演習地で、兵士たちが水を抜くための溝を掘った結果、湿地は乾いた土地に変わっていた。2016年に軍用地が廃されて保護区になると、2018年に管理側は、小さなダムをいくつか築いて湿地を取り戻し、クラバヴァ川を土砂と酸性の水から守る計画をまとめた。100万ドルを超える予算も確保した。
ところが、そこから7年間、計画は止まったままだった。土地の所有関係が片づかず、肝心の建築許可が下りなかったのだ。
しかし2025年1月、関係者が現地に出てみると、ダムはもう完成していた。造ったのは、野生のビーバー8頭の一家である。木と泥と石を積み上げ、人間が図面に引いたのとほぼ同じ場所を、同じように堰き止めていた。もちろん提出された書類は一枚もなく、請求書も届かない。浮いた工費は3000万コルナ、およそ120万ドルだった。
なぜ場所まで一致したのか。ビーバーがダムを築くのは景観のためではなく、自分が水中に隠れるためだ。巣穴の入口を水面下に保ち、枝や丸太は水に浮かべて運ぶ。「ここを塞げば水が溜まる」という地形を読む力は、彼らの生死に直結している。土木技師が計算で出した答えと、ビーバーが本能で出した答えが、たまたま同じだったのだ。
急に現れたダムは「ビーバーが一夜にして作成したダム」と報道されたが、この評判には異論もある。バイエルンでビーバー管理を担うゲルハルト・シュワブは、本物のダムを築くには数週間かかるとして、こう突き放した。「ピラミッドが一週間で建ったと言われたほうが、まだ信じられる」。実際、チェコ側の記録では、この地でビーバーの食痕が見つかったのは2020年で、翌年から少しずつ堰が増えていた。一夜で建ったのではなく、完成するまで誰も気づかなかった、というのが真相に近い。
当局は計画そのものを不要と判断し、あとはビーバーに任せることにした。溜まった水は土砂を沈め、戻ってきた湿地は、保護対象の希少なザリガニやカエル、水生昆虫などの住処になっている。チェコ国内のビーバーは今では1万5000頭ほどと見られるが、この現場は農地から遠く、少なくとも今後10年は人との衝突の心配がないという。
記録に残る世界最大のビーバーのダムはカナダのウッドバッファロー国立公園にあり、長さはフットボール場7つ分に及ぶ。あまりに巨大で、宇宙からでも確認できるという。動物が許認可を一切取らずに建てた構造物が、衛星写真にはっきり写っているのだ。