生き物第184号朝刊

首を落とされた後も18ヶ月生きのび、大金まで稼いだニワトリ

チナミニチンチラが読み上げます(4分0秒)

首を切られたニワトリが、しばらく動き回る。奇妙だが、これは食鳥の現場ではよく知られた現象である。ただしそれは反射であって、じきに動かなくなる——というのが常識とされている。

ところが、その常識をはるかに超えた一羽がいる。1945年9月10日、米コロラド州フルータの農夫ロイド・オルセンは、夕食用に生後5ヶ月半のワイアンドット種の雄鶏を選び、斧で首を落とした。「マイク」と名付けられていたその鶏は、なんとそこから18ヶ月も生きたのだ。

なぜ死ななかったのか。答えは斧の軌道にある。ニワトリの脳は頭のてっぺんではなく、目の後ろ、頭骨の奥のほうに集まっている。オルセンの一撃は頭の大部分を削ぎ落としたが、その奥——呼吸や心拍、消化など生命維持をまるごと担う部分——を外していた。専門家の推定では、質量で最大8割の脳が無傷のまま残っていたという。首の太い血管である頸静脈も切れず、できた血の塊が出血を止めたため失血死もしなかった。

さらに鳥は、骨盤のあたりに腰仙骨器官という第二の平衡器官を持っており、歩行はこれでほぼ独立に制御されている。頭部の平衡感覚を失ってなお、マイクが止まり木でバランスを取り、よたよたと歩けたのはそのためだ。羽づくろいもしたし、餌をつつこうともしたし、鳴こうともした。もっとも鳴き声は、喉で鳴るゴボゴボという音にしかならなかった。

死なないマイクを、オルセンは育てることにした。首の開口部からスポイトで水と牛乳の混合物を流し込み、トウモロコシや虫も少しずつ与えたのだ。

そしてマイクは全国的な有名人になる。見世物興行に連れ回され、見物料は25セント。有名雑誌にも写真が載り、LIFE誌は「斧による異常な断頭のあとも、首を切られたニワトリは普通に生活」と見出しを打った。人気絶頂期の飼い主の稼ぎは月4,500ドル、現在価値で約6万4,900ドルにのぼり、マイク自身の評価額は1万ドルに達した。

1947年3月、興行先から戻る途中に立ち寄ったアリゾナ州フェニックスのモーテルで、マイクは夜中に喉の粘液を詰まらせた。喉に溜まる粘液を吸い出す注射器が日々の命綱だったが、オルセン夫妻は前日の会場にその道具を置き忘れていた。手元に何もなく、助けることはできなかった。マイクは今も「首無しで最も長く生きたニワトリ」としてギネス世界記録に名を残し、地元フルータでは1999年から毎年「首無しニワトリ・マイクの日」が開かれている。

ちなみに、

興行では切り落とされた頭も一緒に見せ物にされていたが、あれはマイクの頭ではなかったという話がある。本物はオルセン家の猫が食べてしまい、別の雄鶏の頭が代役を務めたというのだ。

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