お化け屋敷のマネキン、本物の死体だった
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お化け屋敷に吊られた人形は、どう考えても作り物だ。蛍光塗料で光る肌、首にかけられたロープ、不気味に作られた手足。来場者は悲鳴を上げ、次の部屋へ進んでいく。
ところが1976年、カリフォルニア州ロングビーチの遊園地で、その前提が覆された。テレビドラマ『600万ドルの男』のロケ隊がお化け屋敷で撮影の準備をしていて、スタッフが邪魔なマネキンをどかそうと腕を引っ張ったのだ。腕はあっさりもぎ取れた。そしてその断面から、本物の人間の骨が見えた。
それはマネキンではなかった。それは1911年にオクラホマで射殺された無法者、エルマー・マッカーディの遺体だった。死後65年、ミイラ化した本物の人間が、お化け屋敷の小道具として吊られ続けていたのだ。
マッカーディは、腕のいい強盗ではなかった。陸軍でニトログリセリンの扱いを学んで強盗業に転じたものの、使う量をいつも間違えた。1911年3月の列車強盗では金庫に大量のニトロを仕掛け、中の銀貨を溶かして金庫ごと吹き飛ばしている。同年10月には、オセージ・ネイションへの支払金40万ドルを積んだ列車を狙って、時刻を取り違えて別の旅客列車を止めてしまった。その日の収穫は、46ドルとウイスキーの瓶だった。当時の新聞は「列車強盗史上もっとも小規模」と書いている。
数日後、彼は干し草小屋を包囲され、投降を拒んで撃ち合いになり死亡した。遺体はヒ素で保存処理されたが、家族はほとんど亡くなっており、引き取り手が現れない。そこで葬儀社の葬儀屋は、驚くほど保存状態のいいその死体を見物用に置き、客はマッカーディの口に金を入れて見学料を払った。
5年後、見世物興行の男たちがマッカーディの兄弟だと名乗って葬儀社に現れ、遺体を引き取っていった。埋葬してもらえると信じた葬儀屋は、まんまと騙されたのだ。彼らはこの遺体を「降参しなかった盗賊」と名付け、全米を巡る見世物にした。
そこから遺体は何度も人の手を渡っていく。アメリカの法律では人間の死体を所有することは禁じられているのに、である。ラシュモア山近くの遊園地、ハリウッドの蝋人形館、そして複数のお化け屋敷。数十年のうちに出自は忘れられ、持ち主の多くは本物の死体だと知らないまま、作り物の人形として扱っていた。ロングビーチの遊園地の運営者も、同じように偽物だと思い込んでいた。
腕が折れて正体が判明した翌年の1977年4月、マッカーディはオクラホマ州ガスリーの墓地にようやく埋葬された。生きている間は失敗してばかりの強盗が、死後65年かけて全米を巡業したのだ。
彼の物語はここで終わらなかった。マッカーディを主役にしたミュージカル『Dead Outlaw』が2024年にオフブロードウェイで初演され、2025年4月にはブロードウェイへ進出している。死後114年、本人はまだ舞台に立ち続けているのだ。