ことば第188号夕刊

ポーカーに負けた罰ゲームで、名前が99文字になった男

チナミニチンチラが読み上げます(3分21秒)

名前を変えるというのは、人生でそう何度もない重たい手続きだ。役所に書類を出し、免許証もパスポートも作り直し、周囲にも説明して回ることになる。だからこそ、軽い気持ちで踏み切る人はあまりいない。

ところがニュージーランドのダニーデンに、自分の名前が変わっていたことに4年近く気づかなかった男性がいる。しかも新しい名前は、法律が許すぎりぎりの長さだった。

彼の正式な名義は「Full Metal Havok More Sexy N Intelligent Than Spock And All The Superheroes Combined With Frostnova」。アルファベットにして99文字で、ニュージーランド内務省が定める改名の上限100文字にあと1文字という、限界ぎりぎりの長さである。「スポックとスーパーヒーロー全員とフロストノヴァを合わせたよりもセクシーで賢いフルメタル・ハボック」という固有名詞だらけのふざけた文字列が、この男性の戸籍上の名前になってしまったのだ。

なぜそんなことになったのか。発端は、酔った勢いで参加したポーカーの賭けだった。彼はこの勝負に負け、名前は同じ卓を囲んでいた仲間たちによって決められた。本人は必要な書類を書き、手数料まで払っている。そして、そのまま賭けのことを忘れてしまった。

しかし内務省は、この申請をあっさり受理していた。改名の登録が済んだのは2010年3月。名前は命名規則の要件を満たしており、手数料も払われ、書式も正しく書かれていた——つまり、役所の側から見れば何ひとつ不備のない、ごく普通の手続きだったのである。

当の本人がその事実を知るのは、2014年、パスポートの有効期限が切れたときだった。更新の手続きで、自分が4年近く「~Frostnova」氏として登録されていたことを知る。免許証をはじめ、他のあらゆる公的書類も書き換えが必要になった。酔った夜の代償を、彼は4年遅れで受け取ったのである。

ちなみに、

ニュージーランドの内務省は決して何でも通すわけではなく、近年却下された名前には「Majesty(陛下)」「Lucifer(魔王)」、さらには句点やアスタリスクといった記号まで並んでいる。数字も認められておらず、2007年には我が子に「4Real Superman(マジのスーパーマン)」と名づけようとした夫婦が、数字を含むという理由で却下されている。夫婦は正式名を「Superman」とし、普段は非公式に「4Real」と呼び続けることにしたという。

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