沖縄の牛乳パックは1000mlではなく946ml
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スーパーの冷蔵ケースに並ぶ牛乳パック。1リットル、つまり1000mlと書かれているのが当たり前というイメージではないだろうか。コーヒー牛乳でも低脂肪でもメーカーが違っても、あの背の高い紙パックは1000mlで統一されている。
ところが沖縄県のスーパーやコンビニで棚を見ると、そこに並ぶ牛乳の多くは「946ml」と書かれている。見た目はほとんど同じ紙パックなのに、54mlだけ足りない。これは特売の増量パックの逆のような話ではなく、沖縄では946mlこそが定番サイズなのだ。
なぜ946mlなのか。この数字は、アメリカ式の容量単位である1/4ガロン、つまり1クォートにあたる。1945年から1972年の日本復帰まで、沖縄はアメリカによって統治されていた。その時期に多くの乳業設備が米国から導入され、機械も容器もアメリカの容量単位で運用されていたため、1/4ガロン=946mlが牛乳パックの標準として定着した。
不思議なのは、復帰から半世紀以上が経った今も946mlが残っていることである。日本に戻ったのだから機械もパックも日本仕様に替えればいい、という話にはならなかった。すでに稼働している工場設備や流通規格を全面的に切り替えるには生産ライン全体の再設計が必要になり、返還後もアメリカ製の機械を使い続けた工場が残っている。県内の中小メーカーは1/4ガロン規格に特化した生産体制を組んでいるため、リットルに揃えないほうが経営的に合理的なのだ。54mlの差は、設備投資の損得が勝った結果として今日まで続いている。
このガロン基準は小さいサイズにも及んでいる。本土の500mlにあたるハーフサイズは473mlで、これは1/2クォート。ミニサイズは237mlで、ちょうど1カップ(8オンス)である。沖縄の牛乳売り場は、棚ごとヤード・ポンド法で並んでいるのだ。
少ないなら安いのだろうと思うと逆で、沖縄の牛乳は全国でも高値の水準にある。酪農家の減少や離島への輸送コストなどが重なり、「本土より少なくて高い」という逆転現象が起きているという。例外は学校給食で、こちらは農林水産省の基準に従って全国と同じ200ml。子どもたちだけは、きっちりメートル法の牛乳を飲んでいる。